AutoCADの価格は高いのか、他有名CADと比較してみました

「AutoCADって高いの?」購入を検討されている方の中には、このように思う人もいるかと思います。

今回は、AutoCADと同機能を有する様々なCADを価格・機能という2つの軸で比較してみました。

ぜひ、購入の参考になれば幸いです。

AutoCADの価格は高いのか?

AutoCADは、2Dの図面制作をメインに、2Dで作図した図形を3D化することが可能なCADです。

世界でシェアNo1を誇るCADであることから、納得のCADであります。それに加えAutoCADは、本製品以外にも9種類もの建築・機械といった業種別ツールも同梱。

1から作るのが面倒くさいレイヤや、オブジェクトが入っているので、業務効率化をするべく多くの企業が導入しています。

しかし、そんなAutoCADも高い!という声を聞きますが、本当でしょうか。まずは、現在販売されている最新価格を見ていきましょう。

現在のAutoCAD価格

AutoCADは、サブスクリプションとして、以下の3つの期間より販売しています。

1ヶ月 1年間 3年間
8,800円 71,500円 214,500円

上記は税込み金額です。

最も選ばれているのは、1年間。年度別予算に合わせやすいので、多くの企業より選ばれています。

含まれるソフトは、AutoCADの他、9種のツールセット。

  • AutoCAD Architecture
  • AutoCAD Electrical
  • AutoCAD Map 3D
  • AutoCAD Mechanical
  • AutoCAD MEP
  • AutoCAD Plant 3D
  • AutoCAD Raster Design
  • AutoCAD モバイル アプリ
  • AutoCAD Web アプリ

含まれるソフトの中でも、建築・機械・電気業種のツールが魅力。

作図作業の自動化ツールや、よく使うオブジェクトが数千点含まれているので、自分で制作する必要も他サイトからダウンロードしてくる必要もありません。

AutoCADと類似CAD

それでは本題、AutoCADは他のCADと比べて高いのかを比較していきます。

AutoCADの特徴は、2D図面をそのまま3Dオブジェクト化ができるという点が魅力。

今回比較するのは、2DCADをメインにしつつ、2D線図を3Dオブジェクト化できるといったAutoCADと同機能を有するCADを取り扱っていきます。2Dだけ使えるCADの比較は別記事にて解説します。

比較するソフトは以下の通り。

  • Vectorworks
  • IJCAD
  • ARES

各ソフトとも、AutoCADで言う「LT版」、「レギュラー版」といった、簡易版とフルパッケージ版の数種類に分かれて販売されています。

Vectorworks

Vectorworksは、AutoCADを対をなす2D・3DCADとして有名です。

ソフトは、まずは製品版ソフトを購入します。それに加えて年単位で更新料(更新ライセンス)を支払うというシステムとなっています。

製品価格+年度更新料を支払うため、導入にかかる費用は高めとなっています。

主に建築・デザイン業界に使われています。

更新ライセンスは、スタンドアロン版(単体)とネットワーク版(複数者使用可)の2種類。複数で利用する場合は、ネットワーク版を選んだほうがコストダウンとなります。どちらのライセンスを扱うには、製品版の購入が必須となることを覚えておきましょう。

Vectorworksソフト、更新ライセンス価格

以下は1ライセンス価格です。

製品版 スタンドアロン(初年度更新費用) スタンドアロン(次年度更新費用) ネットワーク版(初年度契約料金) ネットワーク版(次年度契約料金)
Vectorworks Fundamentals 2020 305,000円(税別) 76,000円 (税別) 68,000円 (税別) 76,000円 (税別) 62,000円 (税別)
Vectorworks Spotlight 2020 416,000円(税別) 104,000円 (税別) 87,000円 (税別) 28,000円 (税別) 19,000円 (税別)
Vectorworks Landmark 2020 416,000円(税別) 104,000円 (税別) 87,000円 (税別) 28,000円 (税別) 19,000円 (税別)
Vectorworks Architect 2020 416,000円(税別) 104,000円 (税別) 87,000円 (税別) 28,000円 (税別) 19,000円 (税別)
Vectorworks Designer 2020 527,000円(税別) 132,000円 (税別) 106,000円 (税別) 56,000円 (税別) kおちらhスタンドアロン版は、1ライセンスにつき2台のパソコンにインストールすることができますが、同時起動することはできません。オフィスと外出用パソコンの2台持ちをする人には良いですね。

一方で、ネットワーク版は、一つのLAN内であれば、複数のパソコンにて使用することができるので複数人で利用する場合は、使い勝手が良いです。注意点として、2ライセンスからしか購入できないということ。

IJCAD

IJCADは、低価格帯CADとして近年出現した2D専門CAD。pro版には、3Dソリッドモデリング機能があります。

線分を3Dモデリングできる機能はありますが、軌跡シュミレーションや解析機能などは含まれていません。あくまで、3D化機能は補助的に使い、メインは2Dだけという人に向いています。

IJCADソフト、更新ライセンス価格

以下は1ライセンス価格です。

製品名 スタンドアロン版 USB版 ネットワーク版
IJCAD LT 55,000円(税別) 70,000(税別) 70,000(税別)
STD 75,000(税別) 90,000(税別) 90,000(税別)
PRO 100,000(税別) 120,000(税別) 120,000(税別)
メンテナンス・
サブスクリプション
LT 13,750(税別)/年 17,500(税別)/年 17,500(税別)/年
STD 18,750(税別)/年 22,500(税別)/年 22,500(税別)/年
PRO 25,000(税別)/年 30,000(税別)/年 30,000(税別)/年

IJCADは、スタンドアロン版、USB版、ネットワーク版の3種類で構成されています。

USB版は、USBが刺さっているパソコンのみが使用できるというもの。USBが刺さっているパソコンであれば、どのユーザーでも使い回すことが可能です。

一方ネットワーク版は、一つのサーバーに一つのソフトをインストールすれば、複数人が使用できるというもの。

注意点として、ネットワーク版は、3ライセンス以上の同時購入が必須。合わせて、ライセンスマネージャー・サブスクリプションもライセンス分同時契約が必要だということも覚えておきましょう。

ライセンスマネージャー・サブスクリプション 100,000(税別)/年

ARES

ARESは、低価格帯のDWG互換CAD。

ライセンスは、2種類で「Standard」と「Commander」。Standardは、2D図面制作の機能しかありませんが、Commanderは、3Dモデリング機能を搭載。こちらもあくまで、簡易な3次元モデルの作成が基本となります。

以下は1ライセンス価格です。

スタンドアロン版 ネットワーク版 スタンドアロン版(更新料) ネットワーク版(更新料) スタンドアロン版アップグレード ネットワーク版アップグレード
ARES Standard  48,000 円(税抜) 59,500 円(税抜) 10,000 円(税抜) 12,500 円(税抜) 24,000円(税抜) 29,750円(税抜)
ARES Commander 82,000 円(税抜) 102,500 円(税抜) 15,000 円(税抜) 18,750 円(税抜)

ネットワーク版は、インストールは何台のパソコンでも可能で、使用するパソコンは限定されないのが特徴。ネットワーク版は、3ライセンス以上の同時購入が必須となっています。

各ソフトのAutoCADとの比較

AutoCADと各ソフトとの比較をしていきましょう。

価格比較

まずは価格比較から。CADソフト毎の1ライセンスにおける1年間ライセンス費用(初年度にかかる総額)をまとめてみました。

比較するソフトは、3D機能を有するスタンドアロン製品をピックアップ。Vectorworksの中でも基本パッケージとなるFundamentalsを取り扱います。

1年間ライセンス価格 合計
AutoCAD 2021 220,000円(税込) 220,000円(税込)
Vectorworks Fundamentals 2020 305,000円(税別)(製品版)+76,000円 (税別)(初年度更新費用) 381,000円(税別)
IJCAD PRO 100,000円(税別)+25,000円(税別) 125,000円(税別)
ARES Commander 82,000 円(税抜) 82,000円(税別)

値段比較だけを見ると、

Vectorworks Fundamentals 2020 > AutoCAD > IJCAD PRO > ARES Commander

となりますが、AutoCADの機能の充実さと、世界的シェアを誇るCADということで安定感は抜群。どんな図面形式にも文字化けせずに閲覧・作図できることから、選ばれている理由が分かりますね。

機能比較

今回は各CADソフトの3D機能(モデリングとビジュアライズ機能)の充実度を比較していきます。

3D機能
AutoCAD ソリッド・サーフェス・メッシュモデリング
ソリッド、サーフェス、メッシュ モデリング ツールを使用して、3D モデルをリアルに作成可能。
3Dナビゲーション
3D ビューおよびナビゲーション ツールを使用して 3D モデルのオービット、旋回、ウォークスルー、フライスルーし、設計を効果的に表示可能。
表示スタイル
表示スタイルを適用し、3D モデルのエッジ、照明、シェーディングの表示をコントロール可能。
断面
断面オブジェクトを作成し、ソリッド、サーフェス、メッシュ、またはリージョンを通過する断面ビューを表示可能。
レンダリング
照明やマテリアルを適用して 3D モデルをリアルに表示し、デザインを正確に伝えることが可能。
クラウド レンダリング
ローカル コンピュータの処理能力やディスク容量を消費することなく、3D モデルをオンラインでレンダリング可能。
点群
3D レーザ スキャナやその他のテクノロジーによって取得した点群ファイルをアタッチし、そのファイルに基づいて設計可能。
モデルからドキュメントを作成
3D モデルから、ベース ビュー、投影ビュー、横断ビュー、詳細ビューを含む 2D 図面を生成可能。
Vectorworks Fundamentals 影表現
3D対応の文字、寸法作図機能
圧縮機能
ワークシート機能
シートレイヤ・ビューポート機能
2D→3Dへのプッシュ/プルモード
多彩な3Dモデリング機能
強力な3D編集機能
クリップキューブ(3Dモデルのリアルタイム切断)
3D対応のワーキングプレーン
PDF(3D)取り出し
3Dレンダリング機能
写真と3Dの合成機能(Camera Match)
イメージエフェクト機能
豊富なシェーダ機能
パララックスバンプ(テクスチャ機能)
シャドウキャッチャー(テクスチャ機能)
背景テクスチャ/フィジカルスカイ
背景放射光
コースティクスフォトン機能
ソフトシャドウ機能
アンビエントオクルージョン機能
IJCAD PRO 3D座標系
表示スタイル
ソリッドデータの表示
ソリッド図形の作成/モデリング
螺旋(HELIX)図形対応
フラットショット
ARES Commander JTools 各種ツール
三斜求積などの拡張機能
XtraTools 拡張ツール
業界標準CADに付属する拡張ツールに相当
3Dソリッド対応
簡易な3次元モデルの作成、 直方体・円柱・球・押し出し・ブーリアン演算
幾何拘束 / 寸法拘束
数値入力によって変形するパラメトリック図形を作成

AutoCAD・VectorWorksは、価格を裏切ることなく機能が充実していますね。

3Dモデリングの数種類試すことができ、レンダリング機能まで備わっているので申し分ありません。

一方で、低価格帯のCADは機能が絞られている印象。凝った機能は備わっていませんが、2Dをメインに行う人にとっては不要なのかもしれません。

まとめ

今回は、AutoCADは高いのか?という点について、同機能を有するCADと比べてみました。

まとめると、AutoCADは機能の充実度と余計な費用がかからない価格のシンプルさは魅力的。CADソフトの導入は、現時点でこなせる範囲内で選ぶよりも将来を見据えて選ぶことが大切です。

ただ作図するためのCADソフトだったものが、構造物の干渉チェックや新規提案など作図の手助けとなる機能を使えば、今よりも仕事の幅が広がるかもしれません。

Autodesk(オートデスク)